第58章

「これは白原家のお嬢様じゃない。今や高い枝にでも取りついたそうで、ずいぶん珍しいお客さまだこと」

真珠や宝石をこれでもかと飾り立てた女が、真っ先に口を開いた。頭の先から爪先まで私を舐めるように見回す目には、侮蔑も嫉妬も隠そうという気配がない。

「で、うちの陸原家に、まだあなたの入る場所があるとでも?」

その一言を合図にしたみたいに、リビングのあちこちで嘲るような笑いがぱっと広がった。

「ほんとそれよ。陸原家が大変だったときには、この『准孫嫁』さま、一度も顔を見せなかったくせに。今さら藤原家と婚約するって話が出たら、情に厚いふりして戻ってきたわけ?」

「今のこの人、藤原家の婚約者さま...

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