第66章

彼の声を聞いた瞬間、胸の奥がふっとほどけた。こちらの口調まで、勝手に柔らかくなる。

「お爺さん、そんなふうに言わないでください。お体のほうが大事ですから」

「はぁ……」

受話器の向こうで、お爺さんが重たく息を吐いた。失望と痛みが、そのまま声になって落ちてくる。

「ネットの件は全部聞いた。……藤原様のほうから届けられたものも、見たよ。孫の教育を誤ったのは私だ。君に嫌な思いをさせた。本当にすまない。紀川は呼び戻した。きちんと謝らせる」

言葉を返そうとした、そのとき。

ガヤガヤとした物音が割り込み、鋭い女の声が横から突き刺さった。平岡麗子だ。

「謝る? 何の謝罪よ! 陸原家の面子はど...

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