第72章

 二階の寝室は広くて明るい。古色を帯びた藤原の本家とは違い、ここだけは明らかに最近整え直された空気があった。

 暖かい白の壁。ベージュの柔らかなカーペット。ほっとする色味のフロアランプ。

 隅々まで「ここで安心して眠っていい」と言われているみたいで、いわゆる高級邸宅にありがちな冷たさや距離感が、どこにもない。

『どう? 気に入った? 何か嫌なところがあったら、おばあちゃんに言いなさい。すぐ替えさせるから』

 藤原お婆さんが、期待で目をきらきらさせて私を見る。

『……すごく好きです。おばあさま、ありがとうございます』

 心からそう言うと、胸の奥にじんわりと温かいものが満ちた。

『...

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