第74章

陸原紀川視点

母は父に問い詰められると、視線を泳がせた。まともに目を合わせようともしない。――一目で、後ろめたいと分かった。

『いい、いいぞ……』

陸原海人は怒りのあまり、乾いた笑いを漏らした。二度も「いい」と繰り返したその目は、凍てつくほど冷たかった。

ずっと黙っていた祖父が、そのとき震える手でソファの肘を掴み、よろよろと立ち上がった。

床に落ちていた結婚写真を拾い上げ、濁った目で日付を凝視する。唇が小刻みに震え、顔色が紙みたいに真っ白になる。

『こ……これは……花が、紀川と離婚する前の……』

息が詰まったのか、祖父の身体がぐらりと傾き、今にも倒れそうになった。

『お爺さん...

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