第77章

藤原聡とテラスで随分と時間を食ってしまった。ホールへ戻っても、さっきまでの粘つく熱がまだ肌に残っている。

唇には、彼の指先の温度が居座ったまま。薬指のピンクダイヤが照明を受けて細かな光を散らし、ずしりと重い。その重みが、そのまま胸の奥まで熱を移してくる。

ホールは相変わらず、グラスが触れ合う音と香水の匂い、絹の擦れる気配で満ちていた。

白原英樹がグラスを片手に、満面の笑みで藤原川人と談笑している。

普段は商談の場で容赦なく切り捨てる父が、藤原川人の前では妙に腰が低い。媚びにも似た色まで滲んでいて、見ているだけで胃がむかついた。

私たちに気づくと、白原英樹は真っ先に手を振った。声もや...

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