第79章

林原雨子の顔から、貼りつけたような偽善が今にも剥がれ落ちそうになる。彼女は無理やり口角を引き上げ、この馬鹿げた茶番をなかったことにしようとした。

だが、彼女が言葉を発するより早く――人垣の外側から、場違いなほど明るい男の声が飛んできた。

『いやあ、こりゃあ大吉報だ!』

ぱち、ぱち、ぱち。

急かすでもなく、煽るでもない、妙に余裕のある拍手とともに。ワインレッドのスーツを着た若い男が、人波を割って姿を現す。

顔立ちは白原英樹にどこか似ている。けれど目だけが違った。隠す気のない計算と、獲物を値踏みするような鋭さ。

男は私の前まで来ると、遠慮なく私を上から下まで眺め回し、次いで藤原聡の冷...

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