第52章

松本遠は長谷川冬馬が自分を助けに来たと思い込み、痛みを押して急いで言った。「長谷川社長！やっと来てくださいました！藤原光司のやつ、社長の顔を踏みにじって、計画を台無しにしたんです！」

「何の計画だ？」長谷川冬馬は眉をひそめた。

松本遠は一瞬固まったが、すぐに取り繕うような笑みを浮かべた。「社長が黙認されていたのではないですか？もう手に入れるところだったのに、藤原光司が突然入ってきて、あの女を連れ出したんです。完全に社長を無視しているようなものです……」

そのとき、藤原光司が北野紗良を抱きかかえて出てきた。

北野紗良は明らかに少し力を取り戻していたが、それでも虚ろな様子で藤原光司の腕の...