第107章 謝部綾人が目覚めた

御影星奈「…………」

 二人しばらく見つめ合った後、その気まずい沈黙を破ったのは、謝部綾人の咳払いだった。

 咳き込んだ拍子に、彼の顔には薄っすらと赤みが差す。

 その蒼白で整った顔立ちは一層儚げに見え、まるで壊れやすい琉璃のようだ。

 御影星奈は彼に水を一杯注いであげた。

 今の謝部綾人は全身に力が入らず、起き上がるのさえ困難な様子だった。

 御影星奈はベッドの足元へ回り込むと、身を屈めてベッドをリクライニングさせ、彼の上半身が鈍角になる位置で手を止めた。

「ありがとう」

 掠れた声は、ひどく弱々しく聞こえる。

 男がぬるま湯を半分ほど飲んだのを見届けてから、御影星奈は言...

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