第160章 貴方たちの世界が本当に混乱

「英子をどこへ連れて行く気だ?」

 男の声は掠れていて、それでいて磁性を帯びていた。

 彼は俯き、子供を抱く女に複雑な眼差しを向ける。

 その言葉を聞き、御影星奈は唇の端を吊り上げて嘲笑を浮かべ、瞳の奥に冷たい光を宿した。

「私が英子を連れて行かなければ、あの子は無理やり適合検査を受けさせられることになる……瀬央さん、あなたは慈善事業をしているのですから、二枚舌はおやめなさい」

 御影星奈の言葉に、男は思わず眉をひそめた。

 どういう意味だ?

 適合検査?

 二枚舌?

 こちらに来るのが三十分ほど遅れただけだというのに、一体何があったというのだ?

 彼が問い質す前に、御影...

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