第189章 元夫は彼女が殺人犯になることを恐れている

男は慌ただしく、冷徹な顔立ちには珍しく焦りの色が浮かんでいた。

別荘の門は閉まっておらず、彼は礼儀も無視してそのまま門を押し開けて入ってきた。

近付いてみると、目に飛び込んできたのは御影星奈と上山瑾が組み合って争う光景だった。

彼のこめかみが、ぴくりと激しく引き攣った。

御影星奈が放った回し蹴りが男の肩に直撃し、鈍い呻き声と共に、上山瑾はその場に崩れ落ちた。

彼の顔色は「さっ」と音を立てて真っ青になる。

膝の骨がまるで砕けたかのように、耐え難い痛みが走った。

松山家の一行は呆然とそれを見ていた。

こ、これは……。

なんて強さだ!

さすがはネットで殺人犯を捕まえたという御影...

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