第197章 欲擒故縦

家具?

瀬央千弥が家具を? これ以上あり得ないことがあるだろうか?

御影星奈は無表情のまま、思わず嘲笑を浮かべそうになった。

猫に鰹節とはよく言ったものだ。

この陰魂尽きぬ元夫に対し、御影星奈は心底うんざりしていた。

以前のように無視され、冷たくあしらわれる方がまだましだ。今のように、ことあるごとに奇行に走られるよりは。

一方、謝部綾人はあからさまに顔をこわばらせた。

呵。

面と向かって自分をアピールするのをやめ、今度は物を贈るという手に出たか?

何を贈るかと思えば、よりにもよって家具だと?

瀬央千弥がどこまで的外れなことをするのか、とくと拝見させて...

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