第206章 瀬央千弥∶私と婚約して

J市の街角にある喫茶店。

皆条甘一行は、週末を利用してささやかな集まりを開いていた。

新しくオープンしたこの店は、ネットでデザートが美味しいと評判で、好奇心に抗えず、すぐにここで会う約束を取り付けたのだ。

楽しく食事をしていると、突然、羽瀬月がガラス窓の外を見つめて大声で叫んだ。

「御影さんの元旦那!」

あの分をわきまえない男のことは、少年少女たちの記憶に深く刻み込まれている。

横顔一つで、正確に見分けることができた。

二階堂円、皆条信、そして皆条甘も、一斉にそちらへ視線を向ける。

皆条甘は、彼がコーヒーのテイクアウト用の袋を手にしていることに気づいた。

コーヒー……。

...

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