第207章 先輩、泥棒が入ったよ!

男はキャメル色のトレンチコートを羽織り、インナーには白のハイネックセーターを着ていた。

長身痩軀で、山頂の風に黒のショートヘアが乱れ、その目鼻立ちは涼やかで冷たい印象を与える。

御影星奈は彼を見上げた。

次の瞬間、男の低い声が耳元で響いた。

「御影お嬢さん、ツッター上のトレンド……見ましたか?」

「瀬央千弥が婚約した件のこと? それはさっき見たけど、どうかしたの?」

謝部綾人の視線が、御影星奈の美しく無瑕な顔に注がれる。

そこから何かしらの表情の変化を読み取ろうとしたが、残念ながら、何もなかった。

男は途端にほっと息をつく。

彼は顔色一つ変えずに唇を引き結び、胸に込み上げて...

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