第335章 あなたは一人で虎の口に入るつもりですか?

上山賢という名前に、加賀美は聞き覚えがあった。

例の特殊管理部門の部長ではないか?

御影星奈は一体どういう意図でこの質問をしたのだろうか?

この哀れな老人は、彼とも知り合いなのか?

男の頭の中を様々な思考が駆け巡ったが、結局のところ話の展開についていけず、沈黙を守ることにした。

ぺちゃくちゃと喋っていたS県の警官二人も口を閉ざした。

「上山……賢?」

老人はどもりながら問い返した。

御影星奈は笑っているようで笑っておらず、その瞳の奥には骨身に沁みるような冷たさを宿していた。

「あなたはどう思います?」

老人は耳が遠いふりをし始めた。

それどころか片手で胸のあたりを押さえ...

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