第342章 先輩が浮気した?

男の身体から、ほのかにシダーウッドの香りがした。

鼻につくような香りではなく、むしろ張り詰めていた神経が束の間、和らぐようだ。

怪我を負った羽鳥理は、「……」と黙り込む。

こいつはまたどこから湧いて出てきたんだ?

支えを失い、男は危うく地面に倒れ込みそうになった。

彼は、自分の先輩を抱きしめているこの男を、険しい目つきで観察する。

横顔の輪郭は整っているが、御影星奈と結婚した男ではない。

心臓がどきどきと二度、跳ねた。

先輩……まさか浮気か?

情報に疎い羽鳥理は、離婚したなどとは思いもよらなかった。

なにしろ、あの恋愛脳の先輩が一人のクズ男のためにしでかしたあれこれを、彼...

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