第362章 後ろから彼女を抱きしめる

 夜は御影星奈がキッチンに立った。

 ネットで注文した野菜が届くまでの間に、彼女はご飯を炊き始めた。

 謝部綾人は御影星奈に休んでいてほしかった。彼は少し擦りむいただけの軽傷で、重傷を負ったわけではない。

 それに、料理のような仕事は、そもそも御影星奈がするべきことではなかった。

 彼女はただ、大人しくそこに座っていればいいのだ。

 謝部綾人は、誰かを繋ぎ止めたいなら、まずその胃袋を掴め、という言葉を心に刻んでいた。

 しかし結局、彼は御影星奈に押し切られてしまった。

 次善の策として、キッチンで彼女の手伝いをすることにした。

 御影星奈はかつて数週間ほど料理を習ったことがあ...

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