第363章 一緒に過ごしたその夜に入院しました

「謝部綾人?」

 女は一瞬ためらい、ドアのそばで足を止めた。すぐには押し入らず、まず声をかけた。

 中の苦しげな呻き声が途絶えたかと思うと、すぐに謝部綾人の弱々しい声が聞こえてきた。

「星奈ちゃん、僕は大丈夫……」

 大丈夫なわけがない。

「入るわよ」

 御影星奈はそのままドアを押し開け、中に入るとドアを閉めた。

 カチャリと軽い錠の音が響くと、ベッドの上で身を丸めていた男の瞳の奥に、一瞬暗い光がよぎり、すぐにまた苦痛に満ちた虚弱な表情へと戻った。

 額には冷や汗がびっしょりと浮かび、前髪の数筋が汗でじっとりと肌に張り付いている。瞼はわずかに伏せられ、長い睫毛が震えていた。そ...

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