第387章 現任の彼氏が気配り上手だと褒められたよ

「ん?」

 低く響いたその声は、語尾が上がり、不思議と人を惹きつける色香を帯びていた。

「もう用事は済んだのか?」

 男は瞼を伏せ、薄い皮膚の下に瞳に浮かんだ情愛を隠しながら、御影星奈の手を引いて指を絡める。彼女の掌の温もりを感じ、ようやく彼の眼差しに満足の色が素早く過ぎ去った。

 御影星奈は振りほどかず、相手のなすがままにさせている。

「いくつか契約書を処理してきただけだ。もう片付いた」

 謝部綾人の仕事のやり方は、兄の謝部明人とは大きく異なる。

 彼は常に裏方に徹しており、その手腕を知る者はほとんどいない。

 そのため、今日会社へ行った際、傲慢で自惚れた者が彼を威嚇しよう...

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