第439章 吐き気を催すものを見た

個室には奥村美里の他に、見知らぬ男が一人いた。

男の容姿は平凡で、何の変哲もない。人混みに紛れれば二度と振り返られることのないような存在だ。

御影星奈は目を細め、平静を装った。

「ゴホッ、ゴホッ!」

向かいの個室で、奥村美里が口を押さえて激しく咳き込んでいる。精緻な化粧を施した顔に、二つの紅が差していた。

彼女は不快感を露わにし、ウェイターを呼びつけるや否や、いきなりまくし立てて非難し始めた。

その瞳には、まるで人を食い殺さんばかりの怒りの炎が燃え盛っている。

「どういうつもり? せっかく食事に来たのに、いきなりこんなに煙が上がるなんて、私を殺す気!? 今すぐ監督局に電話してや...

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