第507章 男はただの生活のスパイス

広い肩幅に引き締まった腰、スッと伸びた背筋。

男がゆっくりと振り返ると、その顔立ちが露わになる。

そこに立っていたのは、紛れもなく謝部綾人だった。

御影星奈は封魔剣を強く握り締め、警戒して目を細める。表情は変えない。

耳障りな呪詛のような罵声が、ようやく止んだ。

その代わりに響いたのは、低く磁力を帯びた男の声だ。

「俺が彼女を愛してるわけないだろ。ただの遊びだよ。本気にされるなんて迷惑だ」

「愛に飢えてるだけの女じゃないか。自分がどれだけ薄汚い人間か忘れてるんじゃないのか? 俺が愛する理由なんて一つもない」

「ふん、馬鹿な女だ」

あの端整な顔に、星奈の知らない嘲笑が浮かんで...

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