第520章 富田家で育っていない

「富田心恒」にトラブルが起きた。

 その言葉が落ちるや否や、御影星奈は顔を上げた。

「彼から連絡が?」

「ええ。先輩、俺一人で行きますよ。他にも人を呼んで……」

 羽鳥理の言葉を、御影星奈は遮った。

 抱いていた猫を床に下ろし、立ち上がる。

「いいえ。私も行く」

 夕食を摂る暇もなく、二人は急いで出発した。

 羽鳥理がハンドルを握り、カーナビには富田心恒から送られてきた位置情報がセットされている。

「菩提道観」からは車で一時間強の距離だ。

 その間、御影星奈はスマホで数件のメッセージを処理し、松山守に電話をかけた。

 少年はワンコールで出た。

 開口一番、元気な声が響...

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