第522章 御影様に車輪戦

本来、あの部屋で横たわっているはずの富田高介が、人に支えられながら足を引きずってこちらへ向かってくる。

その気迫は凄まじく、眼光は鋭く冷酷だ。

傷だらけで血にまみれたその姿さえ無視すれば、威圧されて震え上がっていたかもしれない。

だが、残念なことに……。

所詮は負け犬だ。

御影星奈の前では、三手と持たずに転がるただの能無しである。

富田心恒は周囲を取り囲む黒服の大男たちを見回すと、声を潜めて言った。

「先輩、俺のことはいいから先に逃げてください。富田高介は俺を殺しはしませんから」

奴が羽田家の援助を得るためには、俺という存在が必要不可欠だ。そう簡単に殺せるはずがない。

富田...

ログインして続きを読む