第557章 殴るのに理由が必要か

謝部綾人が、その圧倒的な威圧感を解き放った。

御影星奈の傍らで大人しくしている時間が長かったため、彼は弱腰な男だと見くびられがちだ。

だが、実のところ、この男は一筋縄ではいかない。

少なくとも、腕力や喧嘩において敗北を知らない男だ。

相手が非情であれば、彼はそれ以上に非情になる。

完全なる狂気——それが彼だ。

羽田律は苦痛に顔を歪め、腹の底から湧き上がる殺意を抑えきれずにいた。今すぐにでも謝部綾人を殺して憂さを晴らしたいほどだ。

清原透はその光景に恐怖で凍りついていた。

震える手で羽田律を支えようとしたが、触れた瞬間に乱暴に突き飛ばされる。

よろめいた拍子に額を脇の棚に...

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