第574章 唇が腫れてる

部屋を出てもなお、道観の裏林からは絶え間なく泣き声が響いてくる。

子供と大人の悲鳴が入り混じったその音は、思わず総毛立つようなおぞましさを孕んでいた。

御影星奈は構わず、それとは正反対の方向へと足を向けた。

隣接する区画は、三人の後輩たちが共同生活を送っている場所だ。この道観における唯一の女性である彼女のために、かつて清虚真人がわざわざ空けてくれた離れだった。

「もっと優しくしてやれよ。猫があんなに鳴いてるだろ、絶対痛いって……」

椅子に腰掛けた夏川秋の膝上には、傷ついた茶トラ猫がぐったりと横たわっている。その悲痛な鳴き声は、聞く者の心を無遠慮に締め付けた。

「本当に、マジで麻酔...

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