第108章

夜の闇が濃く、世界は息を潜めていた。

雪奈は跳ね起きるようにベッドの上で身を起こした。背中には冷や汗。心臓が暴れて、呼吸が詰まりそうになる。

――また、あの夢だ。

トラックの轟音と、目を焼くような光。耳の奥に残る、骨が砕ける鈍い音。底なしの暗闇と、全身を引き裂く激痛。思い出すだけで胃のあたりが冷える。

寝室は真っ暗だった。カーテンの隙間から、遠い都市のネオンが細い筋になって床へ落ちているだけ。

静けさが心拍を増幅させる。しばらく呼吸を整え、ようやく落ち着いたところで布団をめくった。裸足で床に下りると、ひやりとした冷たさが足裏に刺さる。

窓辺まで歩き、ざっと重いカーテンを引いた。

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