第119章

小林凌輝の案は実に巧みだった。硬い素材と柔らかい素材のつなぎ目に出る不自然さを消せるうえ、見た目の美しさまで引き上げられる。

雪奈は小林凌輝を見つめたまま、視線を外すのを忘れていた。

逆光の中に立つ彼の横顔は冷ややかで、怪我のせいで少し痩せたぶん、輪郭の鋭さがいっそう際立っている。

ふと、ずいぶん昔に誰かが言っていたのを思い出した。小林凌輝はパリ留学の当初、商学ではなく建築と材料工学を選んでいた、と。家の都合で進路を変えただけだ、と。

――なるほど。彼は、芸術やデザインに疎い人間じゃない。

「試してみろ」

彼は雪奈の視線を受け止め、そう短く言ったきり、書斎に留まろうとせず、ゆっく...

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