第120章

雷の音と闇は、いつだって彼女のいちばん深い恐怖を、いとも簡単に呼び起こす。

雪奈はソファの奥に身を縮め、膝を抱え込んだ。体が勝手にぶるぶる震え、下唇をきつく噛みしめて、どうにか悲鳴を飲み込む。

稲妻が走るたび、窓の外で狂ったように踊る木々の影が見えた。牙をむく化け物みたいに、枝を振り回している。爆ぜる雷が落ちるたび、心臓が胸を突き破って飛び出しそうで、息がうまく吸えない。

小林凌輝が懐中電灯の光を頼りに近づいてきた。非常灯の淡い明かりが、彼の輪郭だけを浮かび上がらせる。

ソファの脇まで来て足を止め、次の稲光が部屋を白く染めた瞬間、隅で小さく固まり、必死に恐怖を押し殺している雪奈の姿が...

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