第124章

雪奈は髪を低い位置でひとつに結び、化粧もしていない。素のままの顔は清潔感こそあるが、どこか疲れが滲んでいた。

小型の位置追跡装置はジャケットの裏地に縫い込んである。盗聴器は目立たないピアス型で、左耳に装着済みだ。

小林凌輝が彼女の正面に立ち、装備を最後まで一つずつ確認する。続けて、掌に隠せるほど小さな警報器を彼女のポケットへ押し込んだ。

「状況が崩れた、もしくは身元が割れたら、これを押せ。3秒で高濃度の催涙ガスと煙が出る。逃げる時間くらいは稼げる」

雪奈は頷き、警報器をしまう。

二人は視線を交わしたまま、言葉が途切れた。窓の外はよく晴れていて、光がガラス越しに差し込み、床にまぶしい...

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