第128章

彼女が真剣な顔で線を引いているのを見て、男は満足げにうなずいた。

「悪くない。お前の師匠と引けを取らない腕だ。あいつが遺したものを全部お前に渡したのも、納得だな」

雪奈の手が、ぴたりと止まる。

彼女はわけが分からないまま横目で男を見た。

「……私の師匠の絵、見たことあるの?」

男は答えず、ただ薄く笑っただけで踵を返し、部屋を出ていった。

扉が閉まったあと、雪奈はペンを置いた。

紙の上に走る線を見つめながら、心臓がやけに速く打つ。

さっきの言葉は、わざと探りを入れたものだった。

もし写真だけであのデザイン画を知っている程度なら、彼女の描く腕が師匠とどれほど近いかまで判断できる...

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