第132章

小林凌輝はポビドンヨードを含ませた綿棒で、彼女の傷口をそっと押さえた。雪奈が「っ……」と息を呑み、反射的にふくらはぎを引く。

小林凌輝の手が一瞬止まり、すぐにさらに力を抜いた。

「例の梅野って姓の中年男」

俯いたまま、手元は止めない。

「どうするつもりだ」

雪奈は数秒黙ってから言った。

「まずは師匠が私に残したものを見つける。中に何があるのか確かめたい。綾瀬真央が欲しがってる名簿も、その中にある」

小林凌輝は返事をしなかった。丁寧にガーゼを重ね、膝を包み、きゅっと結び目を作ってから顔を上げる。

「調べた。師匠の家は南城だ。ここから車でだいたい四時間」

淡々と続ける。

「先...

ログインして続きを読む