第137章

山本莉乃はそこでようやく我に返った。状況がもう手に負えないところまで進んでいるのを悟り、慌てて駆け寄って山本父の腕にすがりつく。声は泣き出しそうに震えていた。

「お父さん、やめて……! お兄ちゃんはわざとじゃないの、ただカッとなっただけで……お願い、怒らないで——」

「黙れ!」

山本父は彼女の手を乱暴に振りほどく。目は血走っていた。

「今日ここで叩き直さなきゃ、こいつはこの家に自分を止める人間がいないと思い上がる」

下村さんが持ってきたのは革の鞭だった。黒い牛革の鞭。幅は指二本ぶんほどで、手に取るとずしりと重い。

彼は脇に立ち、山本祐翔の額のあたりから止まらず流れる血を見て、顔を...

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