第14章

雪奈がまだ言い終える前に、受話器の向こうで――割り込み着信の通知音が鳴った。

続けて、小林凌輝の通話が切り替わったらしい。雪奈の耳に届いたのは、かすれた一言だけ。

「桃奈? どうした」

ぷつ、と乾いた音。通話はあっけなく切れた。

雪奈は呆然とし、瞳孔がきゅっと縮む。

――助けを求める電話なのに。小林凌輝は、こんなにも簡単に切った?

次の瞬間、スマホ画面に残っていた最後の光が、すっと遮られた。

雪奈の全身が強張る。何かを悟ったように、ゆっくり顔を上げる。

階段口から漏れてくる薄暗い明かりを、男の肥えた身体が塞いでいた。狭い隙間に、無精ひげの生えた顔がぬっと覗く。

粘ついた視線...

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