第143章

小林凌輝のほうが、また数秒黙り込んだ。やがて口を開く。声はさっきよりも、わずかに低く沈んでいた。

「山本華子って女……俺、知ってる」

雪奈は一瞬、言葉を失う。

「知ってるの?」

「知り合いってほどじゃない。名前を聞いたことがある程度だ」小林凌輝は淡々と言った。「ずっと昔、あの女は小林家に嫁ぎかけた」

雪奈はスマホを握る指に、じわりと力が入る。

「当時、伯父さんと関係があったんだ」

小林凌輝の口調はあくまで平坦だった。

「でも、なんでか知らないが結局まとまらなかった。すぐに地元を離れて結婚して、子どもも産んだ。それからしばらくして、その子を連れて山本祐翔の父親と再婚した……って...

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