第144章

山本祐翔は顔を上げて彼女をちらりと見やり、薄く笑った。

「ありがとうございます、おばさん」

その「おばさん」という呼び方に、山本華子の胸がひくりと跳ねる。危うく、取り繕っていた表情が崩れそうになった。

――気味が悪い。

内心では震えるほど動揺しているのに、口元の笑みだけは微動だにしない。

「家族なんだから、遠慮しないで」

隣では山本父と山本莉乃も、驚きを隠せない顔をしていた。山本父は少し遅れて状況を飲み込み、胸の奥が少し軽くなる。

あの一発は、無駄じゃなかったらしい。少なくとも、息子に考え直させる程度の効果はあった。

食事が半分ほど進んだところで、山本華子は箸を置き、ナプキン...

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