第146章

小林凌輝の下で長く働いてきた秘書は、彼の性格をよく知っている。社長が決めたことに、余計な口を挟む必要はない。自分はただ、言われたとおりに動けばいい。

「承知しました。すぐ手配いたします」

そう答えると、秘書は一礼して部屋を出た。

小林凌輝は椅子の背にもたれ、視線をふたたび窓の外へ戻す。

山本グループ――。

山本華子にとって、今日が山本グループ初出社の日だった。

仕立てのいいブルーのスーツに身を包み、髪はきっちりまとめ上げ、メイクは丁寧だがやりすぎない。いかにも仕事ができそうで、それでいて近寄りがたい雰囲気はない。

山本社長は彼女を連れて経理部のオフィスを一通り案内し、部長にまで...

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