第147章

相手は数秒遅れて反応し、どこか気まずそうにうなずいた。

「……はい」

口にした途端、彼自身もわずかな違和感を覚える。

小林凌輝の前でわざわざ水を差すわけにもいかない。だが、山本華子の言い方だと、この案件をまるごと自分の手柄にするつもりにも聞こえた。

山本社長の胸の奥に、針のようなものがちくりと刺さる。華子の能力を疑っているわけではない。ただ――初出勤のその日にいきなり案件を引き継ぐとなれば、社内の目はどうしたって色めき立つ。変な噂の種にもなりかねない。

二人の空気が微妙に揺れるのを横目に、小林凌輝は黙って視線を落とし、カップを置いた。心の中で、軽く鼻を鳴らす。

山本華子……本当に...

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