第149章

小林凌輝は黙って聞き、口を挟まなかった。山本祐翔が最後まで話し切るのを待ってから、ようやく一言だけ投げる。

「……その金、どこへ消えたと思う?」

山本祐翔は数秒、言葉を失った。

そして、自分でも直視したくない可能性を、喉の奥から絞り出す。

「……移されました」

小林凌輝は彼を見据えた。値踏みするような視線。その奥に、わずかな肯定が混じる。

「勘がいいな」

その言葉に、山本祐翔が目を上げる。

視線がぶつかった瞬間、二人ともどこか現実感を失った。

知り合って十年以上。

山本祐翔は、いつかこの男と向かい合って座り、自分が毛嫌いしてきた“商売の話”をする日が来るなんて思ってもいな...

ログインして続きを読む