第15章

白井桃奈は怨みの滲む目で、受話口から浴びせられる下劣な罵声を黙って聞いた。胸の奥が、わずかに揺れる。

――証拠を残しちゃだめ。とくに、あの男だけは。

あいつさえ黙れば、全部が片づく。

そう腹を決めると、桃奈は呼吸を整え、電話に向かっていかにも申し訳なさそうな声を作った。

「申し訳ありません、高橋プロデューサー。私も、こんなことになるなんて思ってなくて……。こうしませんか。2時間後に一度お会いしましょう。そのとき、欲しい補償があるなら……全部、用意しますから」

高橋プロデューサーは疑うような口調で言った。

「……本当か?」

「もちろんです」

あっさり答えると、受話口の向こうで男...

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