第152章

早谷誠子の家を出てから、雪奈と小野朝香はマンションの下でしばらく立ち尽くしていた。

「このあと、どうするつもり?」

小野朝香が尋ねる。

雪奈はポケットの中の封筒をきゅっと握りしめた。

「もう一度、師匠の家に行きたい」

「今から?」

朝香は腕時計に目を落とし、それから雪奈の表情を見た。止める言葉は飲み込み、少し考えてから言う。

「……私も一緒に行く」

二人は車に乗り、城南の家へ向かった。旧市街の細い路地をくねくねと抜け、車は古い洋館の前で止まる。

雪奈が鍵を回して扉を開けた。中は前に来たときのまま。積もった埃、よどんだ空気。

一階には留まらず、そのまま二階へ。屋根裏へ続く梯...

ログインして続きを読む