第158章

小林凌輝の段取りは、雪奈が想像していた以上に早かった。あの夜に話をまとめた翌日には、秘書を通して必要な手続き一式がすでに揃っていたのだ。

彼女がやることは、署名と写真の提出だけ。それで正式に入社、という流れだった。

受付も連絡を受けていたらしく、雪奈の姿を見つけるなり、にこやかに近づいてくる。

「白井さん、小林社長が28階でお待ちです。こちらへどうぞ」

雪奈は案内に従ってエレベーターへ乗り込んだ。扉が閉まる瞬間、金属扉に映った自分の顔を見て、胸の奥が妙にざわつく。

まさか自分が、小林凌輝の社員になる日が来るなんて。もっとも、この肩書きの大半が「建前」だとしても。

28階に到着し、...

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