第160章

その夜――山本家の別荘。

白井桃奈は、皆がそれぞれの部屋へ引き上げたのを見届けてから、足音を殺して廊下へ出た。そっと山本華子の部屋の扉を叩く。

扉がわずかに開き、華子が左右を素早く確認する。廊下に人影がないと分かると、身を滑り込ませるように桃奈を中へ招き入れ、すぐさま鍵を掛けた。

「――で。今日、小林グループで何があったの?」

華子はベッドの縁に腰を下ろし、桃奈の顔をじっと見据える。探るような視線。

桃奈は向かいの椅子に座ると、前置きもなく言った。

「白井雪奈を見ました」

華子の目がすっと細くなる。次いで眉間に皺が寄った。

「……雪奈が、小林グループに?」

「はい」

桃奈...

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