第162章

山本莉乃はホテルを飛び出すように駆け、路肩でタクシーを止めた。後部座席に滑り込んだ瞬間、堪えていたものが決壊する。ぽろり、ぽろりと、涙が落ちた。

運転手がルームミラー越しにちらりと彼女を見て、遠慮がちに声をかける。

「お客さん、どちらまで?」

山本莉乃は行き先を告げると、シートに背を預けた。あとはもう、声も出さずに涙を流すだけ。

車は夜の街を縫うように走り、窓の外のネオンが一つ、また一つと後ろへ流れていく。彼女の頭の中では、さっきのパーティー会場の光景が何度も何度も巻き戻された。

白井桃奈がわざとやったことくらい、分からないはずがない。

彼女がどんな人間か、山本莉乃は痛いほど知っ...

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