第163章

数秒の沈黙ののち、小野朝香は顔を上げ、山本莉乃をまっすぐ見た。視線には、これまでにない真剣さが宿っている。

「山本莉乃。私、あんたを助けたのは無駄じゃなかった。今の情報、たぶん……私を相当助けてくれた」

……

山本グループ。

白井桃奈は山本グループに入ってまだ二週間も経っていない。それでも、この会社の内情はだいたい掴めていた。

プロジェクトチームの仮設デスクに腰を下ろし、目の前に広げたのは、山本グループ直近三年分の決算資料をまとめたもの。

社内システムから引っ張り出したものだ。プロジェクト調査の名目で権限申請を通している。怪しまれる余地はない。

彼女はページを一枚、また一枚とめ...

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