第164章

通話の相手は梅野昭人と山本華子。時期は三か月前――山本華子がまだ正式に帰国する前だった。

イヤホン越しに梅野昭人の声が流れ込む。苛立ちが滲んでいた。

「そっちは、あとどれくらいかかる? もう待てない。買い手が催促してきてる」

山本華子は落ち着いた声を保っている。だが、焦りは隠しきれていない。

「手続き中よ。最短でも四か月は必要。買い手には、もう少し待ってもらって」

「待てない」

梅野昭人の声が、すっと冷えた。

「いいか。これが流れたら損するのは俺だけじゃない。お前とお前の兄貴が山本グループから抜いた金、半分は俺のルートを通してる。俺が飛んだら、お前も無傷じゃ済まねえ」

数秒の...

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