第169章

雪奈は電話の向こうで短く返した。

「分かった」

通話を切るなり、雪奈はすぐ隣の小林凌輝へ顔を向ける。

「山本華子が城東埠頭に向かった。梅野昭人が船を手配してる」

小林凌輝は無駄口を叩かない。スマホを取り出し、そのまま警察へ発信した。

「対象車両は白の乗用車。ナンバーは今送る。城東高速道路を埠頭方面へ走行中だ。検問を張って止めてくれ」

通話を終えると、雪奈を見た。

「行くぞ。俺たちも向かう」

城東高速道路。

山本華子の白い車が、夜気を切り裂くように疾走していた。

視線は前方の路面に釘付け。ハンドルを握る両手は強張り、指の関節が白い。

四十分近く走り続けた。あと十数キロで埠...

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