第172章

彼女は床板の継ぎ目に指をかけ、隙間を利用してそっと持ち上げた。図面の破片が入った書類袋を滑り込ませ、また床板を戻す。最後に、ずれた埃の筋まで指先で整えて――何もなかったように、元通り。

すべて終えると、雪奈は屋根裏部屋の床に正座し、小さな空間をぐるりと見渡した。

屋根の天窓から斜めに差し込む陽射しが、積み上げられた古い品々を照らす。光の筋の中で、埃がゆっくり、ゆっくりと漂っていた。

雪奈は小さく息を吐き、囁く。

「師匠……梅野昭人は捕まりました。設計図も取り戻しました。ほとんど無事です。元の場所に戻しておきました。博物館の手続きが済んだら、私が博物館に納めます。安心してください」

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