第176章

二人は裁判所の入口の階段に並んで立ち、広場を行き交う人々と鳩の群れを眺めていた。

沈黙を破る者は、どちらにもいない。

ずいぶん時間が経ってから、雪奈がぽつりと言った。

「……終わったね」

小林凌輝は横目で彼女を見て、短く頷く。

「……ああ」

雪奈の胸の内には、言葉にしきれないものが渦巻いていた。

二十年にわたる因縁。

欲と憎しみに絡め取られた人生。

それが、こんなにもありふれた一日で、ようやく幕を下ろしたのだ。

……

一週間後。

雪奈は小林凌輝のオフィスに入り、印刷した辞表を一通、彼のデスクの上に置いた。

小林凌輝は机の向こうでそれを見下ろしたまま、手を伸ばそうとし...

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