第33章

山本莉乃は聞く耳を持てなかった。怒りと悲しみがない交ぜになり、涙が瞳の縁で今にもこぼれそうに揺れている。

そのとき、階段のほうから足音がした。

山本父が険しい顔のまま降りてくる。手にはスマホ。通話を切ったばかりなのだろう、怒りの気配がまだ体にまとわりついている。

「……あのクソガキ。親父の俺を、いったい何だと思ってやがる!」

山本父はスマホをソファへ放り投げた。いら立ちで、口ひげまで跳ね上がりそうな勢いだ。

「飯の一回帰らせるのも一苦労だ。まったく、羽が生えたつもりか」

「おじさん、落ち着いてください」

白井桃奈がすぐ立ち上がり、柔らかな声で取りなした。

「祐翔兄はきっとお仕...

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