第37章

「お前の奥さん……ただ者じゃないな」

小林凌輝は、はっと視線を引き戻し、山本祐翔を睨みつけた。目の奥に、警告と、まだ消えきらない怒りが宿っている。

山本祐翔は肩をすくめるだけで意に介さず、勝手にもう一杯、酒を注いだ。

小林凌輝はそれ以上彼を見ず、テーブルに残っていたウイスキーのボトルを乱暴に掴むと、口をつけたままぐっと一息に煽った。

バーを出たあと、山本祐翔は山本莉乃に「帰って」と言われても聞き流し、そのまま車を走らせて会社へ向かった。

オフィスに入るなり、彼は席に置かれていた資料の束を手に取る。

一枚目は基本プロフィール。右上には写真が貼られていて、そこに写っているのは雪奈だっ...

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