第50章

そのころ――街の反対側。

山本祐翔のスマホが、理由もなく警報を一度だけ鳴らした。

首をかしげる。雪奈に持たせた位置追跡機能付きの腕時計が故障したのかと思い、反射的に時計連動用のアプリを開いた。

画面の表示を見た瞬間、山本祐翔の動きが、ほんのわずかに止まる。

位置情報を確認できません。

最後に確認できた座標は、小野朝香のマンション近くの路地だった。

胸の奥に、冷たいものがじわりと滲む。山本祐翔はすぐ雪奈に電話をかけた。呼び出し音は長く続いたが――出ない。

小野朝香にも連絡する。返ってきたのは「まだ帰ってきてないよ」という短い言葉。

山本祐翔のまぶたがぴくりと跳ねた。電話を切るな...

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